聖闘士聖衣神話 ペガサス星矢
(新生青銅聖衣)Broken Version

昨年(2008年)8月に「聖闘士聖衣大全(セイントクロスクロニクル)」という雑誌が発売された。


丁度ペガサス星矢の神聖衣が発売され、海皇ポセイドンの鱗衣が発売予定になっている時期だった。
売り上げを順調に伸ばしている聖闘士聖衣神話シリーズを中心に、過去にその原点とも言える聖闘士聖衣体系(セイントクロスシリーズ)まで振り返って一冊の写真集のような形でまとめたものだった。

聖闘士聖衣体系はまだ聖闘士星矢がテレビ放送されていた1986年10月から1988年4月の期間にバンダイから発売された玩具で、現在の聖闘士聖衣神話と同様にダイキャストパーツを多用した聖衣(クロス・地上の平和を守る戦いの女神・アテナを守る少年たち、聖闘士(セイント)が身にまとう鎧。それぞれの守護星座を模したオブジェ状態に組み替えられる。)・神闘衣(ゴッドローブ・アニメオリジナルの「アスガルド編」で登場した北欧神オーディーンに仕える神闘士(ゴッド・ウォーリアー)が身にまとう鎧。北欧神話の怪物や氷河期の生物を模したオブジェ状態に組み替えられる。))・鱗衣(スケイル・海皇ポセイドンに仕える海闘士(マリーナ)が身にまとう鎧。ギリシャ神話の海の怪物を模したオブジェ状態に組み替えられる。)などが発売された。

身にまとう鎧が星座や怪物の形に組み替えられるというアイディアは斬新で、当時から大人気になった。
代表的な黄金聖衣・サジタリアスの黄金聖衣は1987年の男児玩具最大のヒットアイテムになっている。

それから年月が経ち、2002年にテレビアニメでは放送されなかった「冥王ハーデス十二宮編」がOVAとして販売されるのにあわせるように、2003年11月、再びバンダイから聖闘士聖衣体系よりグレードアップした聖闘士聖衣神話(セイントクロスマイス)シリーズ第1弾。ペガサス星矢新生青銅聖衣が発売された。

このシリーズは大ブームになり、当時少年としてアニメに夢中になっていた世代の30代〜40代をターゲットに大ヒット商品となった。

フィギュアの作りや、オブジェ状態の完成度などが回を重ねる毎に高まっていき、日本の玩具製品の質の高さを改めて世界中に知られることになった。

今回紹介するのは、この雑誌「聖闘士聖衣大全」で誌上限定発売された「ペガサス星矢新生青銅聖衣〜Broken Version〜」である。

雑誌が発売されたのを記念に作られたもので、2008年8月8日〜10月31日までの間に雑誌についていた応募券で申し込むと買えるものである。
それが届いたのが昨日2009年4月7日だった。
まずはパッケージはこんな感じである。

主人公の星矢はセイントでも最下級の青銅聖闘士であるので、実力は相手の方が勝っていることが多かった。
特に光速の動きを持つ黄金聖闘士との十二宮での戦いの後ではアニメ版・初代聖衣は完全に破壊し尽くされてしまった。

そこで次のアスガルド編(原作ではポセイドン編)に物語が進むときに、黄金聖闘士は戦いの中で成長していった星矢たち主人公5人(原作では一輝は外れている)を真の聖闘士と認め、破壊された聖衣に自らの血を分け与えた。これにより星矢たちの青銅聖衣は小宇宙(コスモ)が高まると黄金色に光り輝く、限りなく黄金聖衣に近づいた青銅聖衣に生まれ変わった。これを新生青銅聖衣と呼んでいる。

この聖衣は原作でもアニメでも多用された。強敵と戦う場面も多く、いかに黄金聖闘士の血を受けたからと言っても聖衣が傷つくことは稀ではなく、星矢たちは大抵傷ついた聖衣のまま戦いを続けていた。
今回の商品は、そんなダメージを受けた新生青銅聖衣を誌上限定発売したものである。

ある意味非常にリアルな聖衣ではあるが、誌上限定発売という手法でなければなかなか売れなかったろうという商品でもある(^^;)。

まずはオブジェ状態から。


写真のように傷ついてヒビだらけになった痛ましい姿の聖衣である。

このオブジェのフレームは新しく作り起こされたもので、傷のない新生青銅聖衣のオブジェと並べてみるとスタイルがだいぶ違っている。
また、部品の配置などはほとんど同じだが、胸のパーツが前開きで胸の前でプラスティックのパーツで留めるところや、後で述べるようにベルト部分が後ろから回して前のバックルで留めるところなどが違っている。

アリエスのシオン(冥衣)以降の元黄金聖闘士の冥闘士のオブジェ同様にフレームに手っ甲パーツをはめ込む場所もきちんと設けられている。



傷のない新生青銅聖衣のオブジェを詳しくみるとこんな感じ。



それに対してBroken Versionはこんな感じ。



全体的によりスマートになり、プロポーションもよくなっている。また傷のない新生青銅聖衣にはフィギュア装着用とは別に、オブジェ用に見栄えのする、サイズの一回り小さいマスクが付属していたが、Broken Versionではオブジェとフィギュアのマスクは共通である。

フィギュアの素体も、傷のない新生青銅聖衣の素体はシリーズ第1弾という事で、後の素体と比べると、まだまだ可動箇所が少なかったり、背中にネジ穴があったりしていたが、今回のものは最新の3rd素体を使用している。


顔の造形もいいし、アンダーウェアにもダメージがみられるなど細かいところまで作り込まれている。

そして装着するとこんな感じになる。


このあたりはまだダメージ1というところ。原作ではポセイドン編の後、サンクチュアリに戻った星矢がこの程度の損傷のある聖衣をまとって、冥闘士として送り込まれた、元黄金聖闘士のキャンサーのデスマスクに「クッククク なんだその破損だらけの聖衣はあ〜ッ 前の戦いでぶち壊されたまま ムウに修復もしてもらえんとは 宇宙的に憐れなヤツ!!」と言われている。

聖衣の肩の部分はサガ(冥衣)で使用されていたフォールディングジョイントに近い構造のプラスティック製のジョイントで留めている。
大きく大胆なポーズも付けられるが非常に外れやすいので、胸のパーツを組むときには注意したい。
装着前に肩パーツを取り付けるより、ジョイントが露出したまま胸パーツを組んでしまって、後で肩パーツを付ける方が確実だろう。

あと、ベルト部分は従来のペガサス聖衣と違って後ろからダイキャスト製のベルトを回して装着し、バックルで留める形になっている。
ベルトの後ろの部分のヒビなども再現できるのだが、このバックルが泣きたいくらい取れやすい。
一度留めてしまえばそう外れるものでもないのだが、組み立て中は何度も外れて探し回ってしまった(^^:)。

物語がさらに進んで、アテナ・城戸沙織が命を取りに来たというサガたちに自らの喉を突かせて死ぬという展開になると、聖衣のダメージもレベル2くらいになる。

左右の腕パーツ、手っ甲パーツ、肩パーツ、胸の中央を止めているパーツなどを交換することによりダメージレベル2の状態に。
アテナの死を知り、星矢の表情も険しくなっている。

また、つい先月(2009年3月)まで続いて発売されていた、カプリコーンのシュラ、アクエリアスのカミュ、ジェミニのサガといったハーデス十二宮編で活躍した元黄金聖闘士の冥闘士や海皇ポセイドン、ペガサス星矢神聖衣などにみられる手のパーツにメッキされた手っ甲がつくタイプの拳と手の平が付属している。

手っ甲パーツは、今までのものが単純に予備として2組入っていたのに対して、Broken Versionでは傷のない手っ甲(開いた手の平の間にあるパーツ)と、さらにダメージがひどくなり手っ甲部分までひびが入ったもの(拳に装着してあるもの)の2種類が付属する。

なおこの後アリエスのシオンに「うろたえるな小僧ども!!」と一喝され、アテナが自ら死を選び、エイトセンシズに目覚めて冥王ハーデスと対峙しに行ったことを聞かされる。傷だらけになった聖衣はアテナの血を受けて最終青銅聖衣に変化し、さらに最後の戦いでは神聖衣にまでその姿を変えるのである。



右の著しく破損した聖衣にシオンがアテナの血を付けると、一瞬で左の最終青銅聖衣になる。
かぶっていなかったマスクも新生された。
なお最終青銅聖衣の星矢は2nd素体を使用しており、頭部はAPPENDIXのものを使用している。


さすがに鬼気迫った方の表情では飾っておくのが怖いので、聖衣のダメージレベルは2のまま、表情を元に戻し、マスクを付けて飾っている。

最後に傷のない聖衣とダメージレベル2の聖衣を比較してみる。なお傷のない聖衣の方は2007年12月に販売された「青銅聖闘士 五戦士集結」のものであり、頭部は最終青銅聖衣のものと差し替えてある。